栗きんとんだけじゃない!?
地域とつながり四季を届ける和菓子屋さん

中津川といえば栗きんとん。
加子母で栗きんとんをお土産に買うなら「仁太郎(にたろう)」ですよね。
僕もよく利用させていただいています。

ただ、どんなお店かと言われるとあまりよく知らないような気もします。
そこで今回、代表取締役の今井啓示さんへインタビューする機会を得て、突撃してきました!

まずは栗きんとんのお話

  • 啓示さん、よろしくお願いします。
  • よろしく。菓子まつりに来てたよね。
  • はい!すごい人でした。
  • コロナで去年は中止だったけど、今回はできてよかった。以前までは戻ってきていないけど、それでも盛況だったね。
  • 秋は栗きんとんが出ますし、やっぱり1年の中だと忙しい時期ですか?
  • 秋が一番忙しいね。
    今年は名古屋の名鉄百貨店で、中津川の栗きんとん食べ比べをできるようバラ売りの企画を提案して出店したけど、それもとても反響があったよ。
  • 栗きんとんのお店って中津川にたくさんあって目移りしてしまいますけど、「仁太郎の栗きんとんの特徴」というとどんなふうにいえるんでしょう?

  • 特徴は…なるべく粒を残すようにしている。
    それと、うちは蒸気でなくガスで炊く方法で、少量ずつを乾燥させるような、おこげができるような炊き方をしている。比較的「香ばしい」感じに仕上がる製法かな。
  • なるほど~(今度これを踏まえて食べてみよう…!)

栗きんとん以外には?

  • 一方で、やっぱり栗きんとんの印象が強いんですが、他にはどんな商品を扱っているんでしょうか。
  • いろいろ扱っていますよ。
    コロナの影響もあって宅配が増えていますが、地元のわらびなどの食材を集めて作っている春の「冷凍山菜おこわ」と秋の「栗おこわ」は、チンしておうちで簡単に食べられるのでオススメです。


冷凍の商品は、店舗以外で購入するなら「カシモール」から取り寄せられます。

  • なんと!オンラインは図らずもカシモール限定なんですね。
  • ほかにも、「四季通じていろんなお菓子を食べてもらいたい」という思いがあるので、その時にあったお菓子を出すようにしています。
    例えば去年の夏から、クリームチーズを使った「やまぼうし」とか。

  • あぁ~!食べました!あれもめっちゃ好きです。
    「木々葉々」もそうですけど、和菓子っぽくない感じの商品も多いですよね。
  • 冬の間は、干し柿にホワイトチョコをまぶした「柿天女」とか「酒蔵生チョコ」とかもね。

  • バレンタインやホワイトデーもありますし、そういう和洋折衷みたいなチョコを贈るのもいいですね!
  • うちはクリームチーズやチョコレートを使ったり、伝統的な和菓子にこだわる人には怒られそうだけど、人に食べたいと思ってもらえるものを売っていきたい。

  • あとは、「極力地元のもの」を使いたいし、活用したいと思ってる。
    食材だけではなくて、酒蔵生チョコにはもくもくセンターの升を使うとか、パッケージの文字を加子母の人に書いてもらうとかしている。

  • あの商品の文字はあの人が!そういう商品の裏話たのしいです。
    特に思い入れのある商品とかありますか?
  • どの商品にも思い入れがあるなぁ。
    やまぼうしは、工場の前でやまぼうしの花を眺めながら「こんな商品できないかな」と考えたんだよ。
  • 加子母はやっぱり自然豊かなんで、そうしたところからインスピレーションを得て商品開発したり表現活動したりされてる方多い気がします。
  • 他にも商品開発のきっかけは様々で、商品名から始まったりもするし、ロス削減のためということも。
    栗きんとんを干し柿で包む「柿の雫」に使えない小さすぎる柿を活用できないか…?という発想から、柿天女が生まれた。
    木々葉々はトトロの持っているお土産を見て、こういうパッケージいいなと思ったところから。

  • そうなんだ!
  • 原材料、ネーミング、パッケージも全部、白紙の状態から自分で選んだものでつくって、それを喜んでもらえるから幸せな商売だなぁと思う。
    食べてくれた人が、今度はまた誰かに渡したいと言って広げてくれたりもして。
  • 素敵です…!そんな思い入れある商品たちが並んでいたんですね。

仁太郎について

  • 仁太郎っていつから続いているんでしょうか?
  • 明治の初めごろから続いていて、自分は4代目になる。
    当初の商品は「仁太饅」だけ。父(3代目)の頃から栗きんとんを始めて、そのあと栗中心にだんだんとラインナップが増えてきたかな。
    ちなみに当時は「今井屋」で、自分が戻ってきた時に初代の名前を取って「仁太郎(にたろう)」にしたんだよ。
  • へぇ、「仁太郎」は初代の方のお名前でしたか!
  • ちなみに隣町の付知にある洋菓子店「悦造(えつぞう)」は弟がやってるけど、うちの二代目の名前なんだよ。
  • そうなんだ!
  • 啓示さんは、いつ頃から和菓子の道に進もうと考えていたんですか。

  • 最初から継ぐものと思っていたよ。
    だけど、職人肌の親を見ながら「自分だったらもっとこうしたいなぁ」ということはいろいろ考えていたから、自分の代で一気に変えた。

    例えば「お菓子を職人が手で握る」ということにこだわり過ぎると、急に注文が集中して休みが無くなるとか限界があるから、今は多くの工程に機械を導入している。

    ただ、同時にこだわるべきところは徹底的にこだわっていて。
    経験知があり、それまでをよく知っているからこそ変えられると思う。手作業から機械に変えた時に商品にどのような変化が生じるか、よく確認する。こし、粘りなど重要な部分への影響はどうか、こだわりを押さえたうえで機械に乗せている。

  • 今後挑戦したいこととか、野望はありますか?
  • 実は、会社はだんだん大きくなってしまうけど、あんまり大きくしないようにしたい。
    規模が大きくなり過ぎると材料揃えるのも、販売も商品管理も、分業になり過ぎて自分の手を離れてしまうのではないかと思うから。
    思い入れのある商品を扱いたいから、コンパクトで内容の濃い会社にしたい。

    商品開発とか面白いところは自分でやりたいけど、それだけでもいけないので、最近は人にもやってもらえるよう意識しているよ。できるだけ丸ごと任せて、それにアドバイスするようにしている。
    今後挑戦していきたいことは、せっかく緑豊かな加子母にあるから、イートインができるとか、もう少し遊んでいけるようなお店にしたい。その準備をしているところだね!

  • うわ、それは楽しみな構想です。
    今日はたくさん聞かせていただき、ありがとうございました!

後日、啓示さんと地域の方々が集まっているところにも招待していただき、地域とのつながりの一端を垣間見ました。
仁太郎は今後も加子母とのつながりを大事にしながら、四季の味覚を届けてくれそうです!
次はどれを食べようかな~。