加子母の冬のごちそう!いももちと煮ごみを作ってみたよ!
加子母の冬の郷土料理に「いももち」と「煮ごみ」があります。
「いももち」は里芋とお米を一緒に炊いて小判型にしたもので、そのまま食べても美味しいし、軽く焼き目をつけても香ばしくいただけます。
そして「煮ごみ」は大晦日からお正月三が日に家族でいただく料理。
大鍋いっぱいに里芋や沢山の野菜を煮込んで作ります。
加子母に住んでウン十年のライターbunchacaですが、実はあまり作ったことがない加子母の家庭の味。今回はご自身でも西方いもを作られているひでこさんとさとこさんの仲良しなお二人に教わりました。
いももちの原料「西方いも」は加子母生まれ
「いももち」と「煮ごみ」に使う里芋。
加子母の家ではこの地域の伝統野菜、” 西方いも ” を使います。
西方いもは飛騨美濃伝統野菜にも指定されている里芋で、加子母の最北・小郷地区で代々守り続けている品種です。
一般的な里芋と言われる品種に比べ、小ぶりで収穫量も少ないですが、食感が良く滑らかな舌触りで、煮物にしても煮崩れしにくくお料理がきれいに仕上がります。
実はライターbunchacaの家はこの西方いも発祥の地でありまして…、今回の「いももち」に使用した芋は我が家の父・まさきさんが畑から掘り出したものです。
掘り出してみると茎の下に、八つ頭(やつがしら)と言われるハンドボール大の親芋が現れ、その周りに沢山の小芋が付いています。
産直や道の駅で並ぶのは小芋ですが、「いももち」にはこの八つ頭も入れるのが農家風。
粘り気が小芋に比べて少なく、食感もほくほくしていて美味しいそうです。
「いももち」を作ってみよう!
今回料理を教えてくれたひでこさんとさとこさんは、加子母の郷土料理研究グループに所属され、公民館講座では加子母の野菜などを使ったお料理を地元の方に教えられています。
ひでこ:わー立派な八つ頭!うちでも「いももち」を作るために西方いもは必ず畑に植えてるのよ。
ひでこ:では早速、「いももち」から作りましょう。
今日は5合ずつ炊いてみようと思うの。5合のお米と、お米と同じ重さのお芋を入れるの。
(今回は5合炊きに対して750g西方いもを用意しました)
ひでこ:お水はお芋が被るくらいまで入れて、少ないとお芋が煮えなくて固くなるからね。
お米も柔らかいほうが美味しいから水加減は多くてもいいわよ。
先生が手際よく芋をむいてカット。
八つ頭は皮をむいてから四つに割り、1センチくらいのざく切りに。
お塩を入れてごはんを炊きましょう。
ひでこ:ごはんが炊けました。八つ頭は炊きあがると薄い紫色になるの。小芋のとろりとした食感とはまた違っておいしいのよ。
じゃあ、早速丸めていくわよ。
ひでこ:まずは木の棒でお米とお芋をこねてね。
全体に棒を回しながらこねていって、途中で棒にお米がくっつくとこねにくいので時々水でぬらしてね。
手のひらにとってハンバーグのように、パンパンと空気を抜くよう丸めていきます。
最後に手にもう一度お水をつけて「いももち」の表面をなでるとつるんときれいに仕上がるとのこと。
ひでこ:出来上がりをあったかいうちに食べると美味しいわよ!
「しょうがだまり」はおろししょうがとお醤油で作るの。
さとこさんが持ってきてくれたお味噌もあるから、青ネギをきざんだのと一緒に乗せて食べてもいいわよ。
みりんでお味噌をとくこともあるけど、今日はお味噌のままがいいかな。家で食べる時は、魚焼きグリルやオーブンでこんがり焦げ目をつけても美味しいのよ。
煮ごみはコトコト時間をかけて
その横でもくもくと野菜を短冊切りしているさとこさん。
煮ごみは時間がかかるからと、どんどんカットしていきます
。
さとこ:煮ごみに入れるのは西方いもの他に、大根、人参、ごぼう、干し椎茸と切昆布。
基本はお野菜だけなんだけど家庭によってはちくわやお出汁の出る鶏肉などを入れることもあるわね。
おめでたい時に食べる物だからお野菜は短冊に切って、お野菜の種類は奇数なのよ、割れないようにってことで。
さとこ:昔は大晦日から正月三が日に食べるので痛みにくいお野菜中心で、火を入れて長く食べられるお料理だったの。
今は他にもごちそうがあるので、煮ごみは汁物の役割も多くなってきてるから、お正月の途中でお野菜が残ってるお鍋にお汁を足して食べる事も増えたかしら。
野菜を切り終わり、煮干しで出汁をとったお汁に切昆布とお野菜すべて入れて煮込んでいきます。
野菜に火が通ったらお醤油とお塩で味を調え、さらに2時間ほど煮込みます。
これも今日の夜や明日の朝に食べたほうがおいしいわよ。今は味見程度にね。
お汁おいしい!すごくおいしい!やさしい味だけどしっかり根菜の味がします。
さとこさんに言われた通り、時間をあけて翌朝、煮ごみをいただきました。昨日食べた時とはまた違い、甘味としっかりした野菜の味がしました。
おいしい冬のお料理を食べて、ホカホカでした。今年のお正月は自分で煮ごみ、作ってみようかな。
取材・文 bunchaca
2022年 日本野菜ソムリエ協会認定野菜ソムリエ取得。地元で採れた野菜を使って、子どもたちが美味しく食べられるレシピを日々研究中。
instagram @bunchaca_bun
ハンドメイドグループ・コトコトミシンのメンバーでもあり、bunchaca-beeの名前で洋服なども作っています。
コトコトミシンinstagram @kotokotomishin