私のルーツ ~加子母~
私は中学卒業と同時に加子母から離れました。
25歳でUターンしてきてもうすぐ10年となった今、さらに加子母が好きだと感じることがあります。
今回はそんな私が暮らしている加子母の魅力をご紹介します。
加子母は土地の94%が森林で自然豊かな地域です。
私は昨年から加子母の木や自然について学ぶ機会があり、その中で、加子母の自然は先人たちが代々守ってきてくれた大きな宝物だと知りました。
加子母で育った「木曾ひのき」は厳しい環境の中で時間をかけて育つ天然ひのきで歴史的建造物の修復に使われています。現在も20年に一度執り行われる伊勢神宮式年遷宮の御用材は加子母の国有林から伐り出されています。日本の文化財に使用される天然のひのきを守ってきた先人が暮らしていた地域である事を学び、改めて貴重な山に囲まれているんだなと思いました。
平成10年に建てられた加子母小学校の校舎には東濃ひのきが使われています。
※東濃ひのき・・・岐阜県東濃地方を中心に産出されるひのきブランド。
8年前に子どもが産まれ、散歩に出かける機会が増えたことでより加子母の季節に目を向け、日々の変化を肌で感じるようになりました。カシモールのインスタグラムでは「#今日の加子母」というハッシュタグを活用して加子母の近況を共有しています。インターネットのおかげで、加子母に住んでいる私も知らない今日の加子母の写真を見ることができて、さらに加子母の自然が身近になりました。
明治座は岐阜県の重要有形民俗文化財に指定されており、名誉館長は中村七之助さんです。加子母の住民による地歌舞伎公演をはじめ、クラッシックコンサートなどのイベントで活用されています。私も子供の頃に映画上映を見に行ったり、子供の時には地歌舞伎に参加しておばあちゃん達が喜んでくれた思い出があります。
加子母らしいなと感じるのは明治座が約130年前に村の住民たちの手によって建てられたということです。
加子母で暮らしているとみんなが主体となり神社などの祭事はもちろん、地域運動会や左義長などの地域行事、草刈りなどの保全活動が行われていることがわかります。
中学生が育てた花の苗を各区で協力して国道沿いの花壇に植えたり、消防団が地域を守る訓練を見たり、子供たちの保護者会活動のために資源回収に参加したりするたびに私自身も地域に愛着が湧いてきます。
子供達は各行事で地歌舞伎や祭事の巫女、神輿担ぎ、獅子舞などに参加して成長します。正直、小さい頃はこのような地域活動は休日にあるため面倒だなと感じる事もありました。しかし、加子母の文化が地域住民によって受け継がれてきていると知った今の自分には、その体験1つ1つがかけがえのない経験だったと思えます。改めて加子母の文化は地域住民で受け継がれてきているのだなと感じ誇りに思います。
加子母には国の天然記念物である加子母大杉で行われる「なめくじ祭り」や、水無神社秋季大祭で行われる通称「けんか祭り」など代々伝わる文化が多く残っています。水無神社秋季大祭は厄年になると参加します。私も、数年後42歳の厄年の時に同級生のみんなが集まって祭りに参加しますが、加子母を離れている人も参加できる地域行事があることはとても嬉しく今から楽しみです。
加子母も他の地域と同じように少子化、人口減少など問題を多く抱えていますが、
30年に渡り木材の加工や知識を大学生が学ぶ「加子母木匠塾」の他にも多くの大学生を受け入れたり、コロナ禍でもカシモールをオープンさせたりするなど柔軟で協力的な人間性は加子母の大好きなところです。
子どものころたくさんの経験をさせてもらう立場だった私が親になり、かけがえのない経験をしてきた事は加子母の大人たちの協力によって成り立っていたことを再確認しました。
都会の暮らしも経験したことで加子母の環境が当たり前ではないことを実感でき、改めて加子母が好きだなと感じました。
加子母のこれからを担う立場となった今、培われてきた先代からの伝統を大切に、私達の子どもや孫たちへ引き継いでいけるようにしていきたいと願っています。
私は加子母が大好きです。同じように加子母が好きな人は加子母内外にたくさんいるのではないでしょうか。そんな私の大好きな加子母と、加子母を想う人をつなぐ場所が「カシモール」です。
私は、これからも加子母の魅力をたくさん発見しながら加子母暮らしを楽しみたいです。
文・写真 コジマ
2013年に加子母へUターン後、夫と3人の子供たちとの加子母暮らしを楽しんでいます。
子育て中のお母さんを応援する「はっぴーたーん」を立ち上げ活動中。
実家はランプの宿渡合温泉。