加子母とお茶

昔から加子母の人はお茶を好み、石垣や畑の隅に点々と茶の木を植えてました。

一番茶の摘み取りは、田植えなどの農繁期にもかかわらず、茶摘みは大切な仕事として、丁寧に摘んで手もみにしお茶を楽しんでいたそうです。
現在では出荷量が多くなったこともあり、多くは加子母茶業組合で集め加工をし販売をしています。

今回は加子母のお茶についてお話を伺いました。

「加子母はお茶づくりにはあんまり適してなかった (笑)」

いきなりぶっちゃけた話をしてくださったのは、加子母茶業組合の副組合長よしおさん。

  • む、むいてないんですか…!!?
  • お茶っていうのは元々温暖な地域で作られるのが一般的で、加子母では冬寒いもんで、あんまり適した地域ではなかったみたい。
    いっ時はお茶の加工場の北限とも言われたこともあったそう。
  • 北限ということは、加子母より北になるとお茶の栽培が難しかったんですね。
  • そう。ただ今では皆さん一所懸命お茶の栽培をするもんでかわからんけども、加子母より北にも作られるようになったし、加子母でも有名な生産地と遜色ない美味しいお茶ができるようになったんよね。

    地形の面で言うと、加子母の場合は標高600mだもんで、霧がかかって常に適度に湿り気があるってのが美味しいお茶を作るそうな。

  • 味はどうですか?
  • いっちゃなんやけど、加子母茶しか飲んだことがないでわからんけども(笑)
    私はその役員だから言うわけではないけど、加子母茶はうまいよ。

    茶葉は無農薬を基本として栽培したものでよ、小規模な茶園から手摘みされた茶葉を24時間以内に高級煎茶にしとるもんで、素朴なんだけど結構味も香りもいいと思うよ。
    過去には恵那茶展示品評会に出して200満点中197点を獲得して、優等に入賞したこともあったそうな。

    あとはまぁ、手頃な値段で買って飲めるってのもあるもんでね。
    高級なブランドのお茶をチビチビ飲むよりかは、思い切ってグビグビ飲めるわなというのはあると思うけど、飲みたいときに飲み放題って感じやね。

120年を超える建物

  • それにしても歴史を感じる建物ですね。まるで、映画のセットみたいです。
    加子母茶業組合さんはいつ頃できたんですか?
  • 今のお茶工場は元々、桑の葉を保管したりこの中でお蚕さんの卵を産ませたりというような養蚕の場所として明治の時にできたみたい。聞いた話やで本当か嘘かわからんけども。明治27年前後に建てられとるらしい。

  • それじゃあ120年以上経った建物なんですね…!
  • そう。おおよそ60年間は養蚕として使用していたけども、昭和27年には養蚕が下火になってきたもんで、蚕の餌を作っていた桑畑の桑をこいで(引っこ抜いて)茶畑にしたげな。
    それまでは田んぼのあぜのところにお茶をちょっと植えたり中には小さな畑にお茶専用に植えたところもあって、自家消費の分のお茶の加工を細々と皆さんやっとったと。

    桑畑を茶畑に変えたことで非常に量が多くなったもんで、「共同で加工しようよ」ってなったのがきっかけで、加子母茶業組合の原型が造られたと聞いとるけどね。
    そのころは多分法人化してなかったんだけど、昭和47年に農事組合法人かしも茶業組合っていうことで法的な手続きをとって正式に加子母茶業組合という組織が設立されたよ。

  • 先日工場の見学もさせてもらいましたが、工程の中で結構手作業があったと思うんですけど…。
  • 今の最新式の機械はコンピュター制御でやるもんで、柔らかい初期の頃のお茶だろうが少し葉っぱがかたくなったものも全部タイマーで、例えば第一工程は何分経ったら自動的にこうやって流れて行くってもんなんだけど。

    ここの工場は、必ずオペレーターが状態を見ながら第一工程はもういいかなと自分の手と目と匂いで確認しながら次の工程へ移っていく。こういうことをやっとる。
    これは機械が古いから余計という考え方もできるけども、自分の目と鼻で確認をして次の工程に移していくと。

    こういうのはもしかしたらよそではやってないかもわからん。

  • 手間がかかってますね!
  • なんとか皆さんに安くてうまいお茶を提供したいということで、日々努力をやっているということですね。
  • 日々の努力があっての今なんですね。
    今日はお話をありがとうございました。

加子母茶のご紹介

岐阜県中津川市の最北端、白川の源流「加子母(かしも)」で一番茶だけを生産しています。
標高600メートルと冷涼な気候のため、温暖な気候の産地とくらべ一番茶の出荷は6月初めと遅くなります。

無農薬を基本として栽培されており、小規模な茶園から手摘みされた茶葉を、24時間以内に高級煎茶に仕上げました。
熟練した職人が生葉の状態や湿度・気温の変化を観ながら丁寧に製茶して工場から直接お届けしています。